マツダが打ち出したEVの構想“REレンジエクステンダー”とは?

近年話題のEV(=電気自動車)ですが、多くのメーカーがEV市場に参入してきました。最近では多くの自動車メーカーがEVの開発、研究をしているところにあります。街中でもEVを見かける機会が増えてきましたよね。今回は「マツダ」のEV構造“REレンジエクステンダー”について見ていきましょう。

“REレンジエクステンダー”とは?

早速本題に入りたいと思います。“REレンジエクステンダー”とはなんだ?という話ですね。

REというのは、ロータリーエンジンのことで、つまり“REレンジエクステンダー”というのはロータリーエンジンを搭載したレンジエクステンダーということです。マツダは、この“REレンジエクステンダー”を搭載したEVを独自開発することを2018年10月2日に発表したのです。

 

とはいえ、ロータリーエンジンだのレンジエクステンダーだの言われてもまったく想像ができないのが現実ですので、詳細をこの後見ていきましょう。

ロータリーエンジンってなに?

そもそもですね。“REレンジエクステンダー”のREが、ロータリーエンジンだとわかったところで、ロータリーエンジンというもの自体がわからないと理解は進みません。

ここでは、ロータリーエンジンについて詳しく見ていきたいと思います。

ロータリーエンジンとレシプロエンジン

ガソリン自動車のエンジンメカニズムについてはロータリーエンジンとレシプロエンジンというものがあります。

 

レシプロエンジンというのは、ピストン運動といわれる上下運動が基本となっているエンジンです。昔から船舶や鉄道車両、航空機に組み込まれてきた歴史あるエンジンです。自動車には現在でも多くの車種に搭載されている最もポピュラーなエンジン型となっています。

 

それに対し、ロータリーエンジンはローターの回転運動が基本となっています。ドイツで発明された技法で、その後東洋工業(現在のマツダ)が自動車用エンジンとして量産化に成功した、という歴史をもちます。長所は軽量かつコンパクト、低振動かつ低騒音、高出力と、独特の走りの気持ちよさがあります。その反面で、高燃費等の短所もあります。マツダ以外の自動車メーカーはほとんどこのロータリーエンジンを採用していないのが現実です。

ロータリーエンジンが搭載されていた自動車って?

ロータリーエンジンについてはなんとなく理解できたとしましょう。それでは、マツダの車の中でも、ロータリーエンジンが搭載された車にはどのようなものがあるのでしょう。

初代ロータリーエンジン搭載マツダ車は、1967年5月に当時世界初となる実用可能な量産ロータリーエンジン搭載の「コスモスポーツ」という自動車です。

この「コスモスポーツ」の発売をきっかけに、マツダはロータリーエンジン搭載の自動車のラインナップをぐんぐん拡大していきます。ファミリアやサバンナ、カペラ等のコンパクトからミドルクラスの自動車にも搭載をしていきます。また、マイクロバス、高級車クラスにもロータリーエンジンを搭載し、ロータリーフルラインナップを実現していきます。

 

しかし、今現在では、マツダの代表車種である「RX-8」への搭載を機にロータリーエンジンは搭載されなくなってしまいました。走行性能的には魅力的ではありますが、その分燃費面、排出ガス面で厳しい部分もあります。定期的なメンテナンスをしっかりしていないと簡単にトラブルが発生してしまうのも事実であり、メンテナンスフリーの呼び声高い現代社会おいて、うーん、と思う人も多いのかもしれません。

レンジエクステンダーってなに?

さて、次はレンジエクステンダーについてです。レンジエクステンダーとは、EVが満タン充電した状態から走ることができる距離(=航続距離)を伸ばすことを目的として搭載される、小型発電機からなるシステムのことです。ロータリーエンジンはガソリン自動車等、従来のガソリン自動車タイプでしたが、レンジエクステンダーはEVのエンジンスタイルとなっています。レンジエクステンダーEVは「カリフォルニア州大気資源局(CARB)」によって以下の定義があります。

・充電による走行距離が75mile(約120.7km)以上であること

・補助動力装置(発電専用のエンジン)を搭載していて、これを使った発電での走行距離が充電による走行距離以下であること

・補助動力装置はバッテリーの電力が低下するまで作動しないこと

以上の3点が定められています。つまり、レンジエクステンダーEVとは、バッテリーの電力が低下したときに、ガソリンを使って専用エンジンで発電をして走行を続ける方法ということですかね。そのため、レンジエクステンダーEVはエンジンを発電専用として、あくまで補助的な働きをしているものとなります。走行は外部充電から得た電力によるものがメインということですね。現在普及を遂げたハイブリッドカーはこの逆で、エンジンで走行し、またエンジンを発電に使用して走行することがメインとなっています。なるほど。

 

また、レンジエクステンダーEVの特徴としてはバッテリーが大容量であることです。しかし、エンジンのパワーは比較的小さいものとなっています。どんなものにも長所と短所があるものですね。

再考!“REレンジエクステンダー”とは??

これまで、ロータリーエンジンとレンジエクステンダーに分けて詳細を見てきました。では、いよいよ本題、ということで“REレンジエクステンダー”について再度考えていきましょう。

言葉のままでいくと、「ロータリーエンジンを組み込んだレンジエクステンダー」となります。また、レンジエクステンダーはEVシステムですので、“REレンジエクステンダー”ということはEVのエンジン、というのも同時にわかるようになりますね。

マツダがこだわり続けたロータリーエンジンをレンジエクステンダーEV用の技術として採用したわけです。上で記載したようにロータリーエンジンの長所はコンパクトで軽量、騒音や振動が少ないことです。この長所を活かし、車体の狭いスペースにロータリーエンジンを埋め込んで発電用エンジンとして使用します。ロータリーエンジンの短所である燃費の悪さ等は、レンジエクステンダーの長所である大容量バッテリーで相殺しています。ここでのロータリーエンジンの役割は、レンジエクステンダー用の発電エンジンとして働くことです。

 

このようにロータリーエンジンとレンジエクステンダーのそれぞれの長所を活かしたシステムが“REレンジエクステンダー”ということになります。なんだか、素敵な関係性ですね。

この、エンジンで発電をしてモーターで走る、というシステムは日産の「e-POWER」でもおなじみです。その「e-POWER」が爆発的ヒット車種となったため、消費者に受けがよいことは見て取れます。

現在マツダが発表している、2019年導入予定の「バッテリーEV with レンジエクステンダー」というのが、“REレンジエクステンダー”である、と話題になっています。

マツダは常にロータリーエンジンにこだわり、いつの時代でも現代社会に似合った形でロータリーエンジンを進化させ提供してきました。

マツダは今、「水素ロータリーエンジン」というマツダ独自のロータリーエンジンをベースにエコカー技術を進化させています。“REレンジエクステンダー”だけでなく、他のロータリーエンジン自動車にも注目、というわけです。今回は“REレンジエクステンダー”について詳しく見てきましたが、“REレンジエクステンダー”についてわかってくると、他の機能・システムについてももっと知っていきたい気持ちもわいてきますね。わいてきました。

現時点では2019年に“REレンジエクステンダー”搭載車種がマツダより発表の予定ですが、さらに増えてくるマツダ独自の素敵なエンジンにこれからも期待が募ります。

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