ホンダってEV作れるの?
日産、三菱、トヨタ、マツダ等各メーカーでEV開発が近年盛んになっているなか、ホンダも東京モーターショー(2017年10月27日~11月5日開催)に2台のEVを出展するなど積極的に開発を行い各メーカーに負けない技術力があるところを周囲に見せつけています。
しかしあまり知らなかった事ですが現在ホンダが抱えている問題は技術面と別な部分にあり、その問題により窮地に立たされているらしいのです。
その他にも課題があり一筋縄ではいかない状況になっています。
今回はホンダとEVの関係を詳しく調べていきたいと思います。
技術面以外の問題点
本題に戻りホンダが抱えている問題点を探っていきます。
ご存知の通りホンダの大きな収益となる取引先はアメリカと中国です。
しかしこの二か国は電気自動車について厳しい販売義務を課していて、特にアメリカは2018年からZEV(排気ガスをいっさい出さない車)対象地域において一段と厳しい規制になっています。
簡単な理解としてはZEV対象地域では燃料電池車・電気自動車・PHVの販売割合を全体の5%以上にしなければならないという事です。
2017年以前はハイブリッドもZEVに認められていて、それでも5%に満たなかった場合はステラなどにクレジットと呼ばれる権利を購入して凌いでいました。
しかし2018年以降はクレジットを購入するだけでは間に合わなく、1クレジットあたり60万円という罰金を支払わなければならなくなりました。
続いて中国ですが、突如2019年にZEVを販売割合の10%以上に2020年には12%以上にしなければならないと決めてしまったのです。
ホンダは2016年に中国で124万台を販売しており今後も売れ行きを伸ばすと思われます。
2020年の事を考えたら年間15万台近くのZEVを販売しなければならないという事になります。
大のお得意先である2ヵ国の状況の急変によりホンダの電気自動車開発を急ピッチで進めなければならなくなっている大きな理由になっています。
ホンダの課題点
続いてEV開発のホンダが抱えている課題を調べていきます。
技術力につきましては日産やトヨタ等と同等の力を持っています。
アコード、ステップワゴン、CR-Vに使われている2モーターハイブリッドは発電機を搭載した電気自動車と言えるでしょう。
モーターも1500~1600kg級の電気自動車を軽々走らせられる184馬力、バッテリーに乗せ換えたらあっという間に電気自動車になります。
以上の事から今すぐにでも電気自動車のラインアップを組めるほど、まったく技術的な問題はありません。
しかし実際に販売する事を考えた時に売れるかどうかは未知数です。
実際にアメリカでアコードのPHVを販売していますが高価で車自体の魅力も薄く低迷しています。
電気自動車ならホンダ!と言うイメージが薄く、有名性でトヨタや日産に負けているのは事実でしょう。
そのイメージが余計にユーザーの車選びをする時の対象になりづらいという理由もあります。
そんな中、ホンダが考えたのがラスベガスで発表したNeuV、フランクフルトショーのアーバンEVコンセプト、東京モーターショーのスポーツEVコンセプトです。
しかし結果的には電気自動車なのだからと少々変わったコンセプトを選んでしまったようで、EV開発においての経験不足と急いで開発を進めた結果が出てしまった感があります。
これからの需要も多くなるジャンルですが、多くのユーザーが車の購入リストにのるような魅力ある車じゃないと成功は難しいでしょう。
ようは買う側が「あっ、この車いいね。欲しい!」といった感想を持たれるようにならないとダメでしょう。
ホンダの新型EV
2017年に発表した次世代コンパクト電気自動車「アーバンEVコンセプト」
開発車両はフルカモフラージュ状態ですが、コンセプトモデルから継承されるデザインと進化したスタイルが見て取れます。
継承されるのはネオレトロスタイル、全体的にエッジがなく丸みを帯びた可愛いシルエットとなっています。
特徴と進化している点は、ヘッドライトは丸眼、2ドア・4シーターから4ドア・5シーターに変更、ドアの前の方にドアノブがあるスーサイドドアから通常のものに変更されている点、ボンネットに充電ポートも備えています。
リアドアのドアハンドルはCピラーに近い位置へ、テールライトがスクエア型から円形へ変更、フロント・リアともLEDが採用されており、リアビューカメラやデジタルアウターミラーが装備されています。
キャビン内は巨大なデジタルワイドディスプレイを備え、AI技術を用いて「ホンダ・オートメーテッド・ネットワーク・アシスタント」の搭載も可能です。
パワーユニットは不明ですが、高密度計量バッテリーパックを搭載、後続距離は250kmから300km程度が予想されます。
ホンダは、欧州で受注を2019年初頭から開始することを発表しています。
同年後半には欧州市場での発売が予定されています。
しかし、ユーザーが選ぶかと言うと課題点で上げた通り少々変わったコンセプトである事はいなめません。
ただ様々な装備の部分で特徴をだしていて、車の能力も十分と推察します。
実際に販売した時にどうなるか見守りたいと思います。
国内生産拠点の再編を目指すホンダ
2021年度をメドに埼玉県に2つある完成車工場を寄居工場へ段階的に集約することを2017年10月4日に発表しました。
それに伴い1964年稼働の狭山工場は4輪車の生産を終了します。
会見の中で八郷隆弘社長は、今回の再編は長期経営計画「2030年ビジョン」につながるものと述べました。
ホンダは2030年には4輪車販売の3分の2をHV、PHV、EV等の電動車にすると目標を掲げています。
寄居工場では今後EVやPHVを混流生産するための実証ラインを設計するといった電動化に向けた生産技術の開発を進めるとしています。
寄居工場は最新鋭の設備があり、電動化へシフトチェンジしやすいとされ、今後は世界中の工場から生産部門の担当者を集めてEVを始め電動車の生産技術・プロセスの企画を行う予定です。
ホンダが電動車の量産を行う上での問題点は車造りの効率性、2016年度の営業利益率を他メーカーと比べると約1%~7%以上劣ります。
自動運転や電動化の時代に対応するためにも利益率が低いのは課題だと、八郷社長も認めるところです。
利益率が他メーカーより劣る理由として、ホンダの国内外各工場が自主的にアレンジした結果地域間で生産方法の違いが出たことが非効率につながったと考えられます。
本来であれば工場が独自に考え製造方法を工夫する事はとても素晴らしい事で、それが出来るという事は優秀な人材がいるという事の証明でしょう。
しかし自動車工場となると少し話が違ってくるのでないでしょうか、各工場がバラバラの生産方法で行った場合作業効率の違いが横の連携を難しくします。
つまり、あらかじめ一定数の部品を組み上げて生産を行うモジュール化を進めようとした時にうまく連携が取れず、一部は非常に効率的に行われたとしても一部は作業が遅れるといった問題が発生するでしょう。
結果として全体の効率化を改善することがとても難しい状況になります。
このような様々な課題に対応していくのが寄居工場という事で、実証ラインではモジュール部品を活用することで工数を3割削減する生産方法を検証します。
今回の再編を進め生産方法が確立すれば、国内だけではなく海外においても電動化に向けた生産体制をスムーズに整えることが出来きると強調しています。
実際に製造効率の向上と製造コスト抑制できれば、電動車に価格競争力を持つことが出来るでしょう。
まとめ
価格・コスト面、コンセプト面での経験値不足、お得意先2ヵ国によるZEV規制など様々な問題点があり、現状ではすぐに成功するのは難しいと思われます。
しかし生産工場の再編を含め今後色々な改善を行えば、十分な技術力を持ったホンダならば将来代表的な魅力あふれるEV車を開発出来るのではないでしょうか。
ホンダファンの方はそれを信じて待ってみてはいかかがでしょう。
コメント