EV充電器CHAdeMO(チャデモ)とはあまり聞きなれない言葉ですが、EV(電気自動車)に充電器は重要で、充電時間は短いほど助かります。
その充電時間をガソリン車の給油時間にグッと近づけようとしているのがCHAdeMOです。
その凄さとこれからについて見ていきたいと思います。
CHAdeMOでお茶するとは?
CHAdeMOの名称の由来は・・・
「CHArge de Move=動く、進むためのチャージ」
「de=電気」
「(クルマ充電中に)お茶でも」
の3つの意味をふくんでいるそうです。少しユーモアのある良い名称だと思います。
EV急速充電器CHAdeMOという言い方もするので短時間で充電できるようです。はたしてお茶を飲むくらいにお手軽にEV車の充電が可能なのでしょうか。
実際にお茶でも飲みながらのんびりと読んでいただけたらと思います。
CHAdeMOの規格は急速充電のパイオニア!
IEC(国際電気標準会議)が、2014年4月に開催され、電気自動車用急速充電規格の国際規格としてCHAdeMOが承認されました。
それは世界で最初のEV用急速充電器の充電規格です。凄いですね。
国際規格となったCHAdeMOは世界へ展開していますが、普及や規格を統括するのはCHAdeMO協議会です。
2013年3月に、トヨタ、日産、三菱、富士重工、東京電力、の5社が幹事会となりCHAdeMO協議会は設立されました。
設立時の会員は海外企業19社と国内企業158社・団体が加入しています。
世界でEVが発展するように最適な急速充電基準をつくることを目指しています。
EV充電器CHAdeMOの凄さとは?
普通充電は交流で8時間ほどかかりますが、EV急速充電器CHAdeMOは、30分〜1時間程度で急速充電を直流で行います。
充電器のコネクタ(接続器具)はお互いにプラグ(差し込み)の大きさや形状が違うので誤って差し込むことはありません。
世界各国で交流の電圧が異なっていても、直流の充電方法は使用できるという利点があります。
- CHAdeMO協議会は、コネクタの規格、充電方法、通信方法(充電器とEVのやりとり)を統一しています。
- CHAdeMOの充電器は6年以上にわたり、EVに充電していて完璧な安全記録を持っています。
- CHAdeMOのプロトコル(通信する時の約束事)とコネクタは世界中で同じです。
CHAdeMOのコネクタを装備したEV充電器は5大陸の50カ国以上にあります。
世界:22,600ヶ所
日本:7,400ヶ所
北アメリカ:2900ヶ所
ヨーロッパ:7900ヶ所
アジア:4,200ヶ所
その他:200ヶ所
Tesla(テスラ)のEVはアダプター(規格の異なる機器を接続する道具)経由でCHAdeMO充電器が使えます。
世界のプラグインハイブリッドの15 %がCHAdeMOの対応です。これは急速充電に対応しているプラグインハイブリッドのほぼ100 %になります。
充電器の出力が大きいほど車両側のリチウムイオン電池に負担がかかり劣化を早めたりします。
CAN通信(ホストコンピューターなしで相互に通信できる)によって急速充電器の動作情報を車両に送り、車両より充電許可信号や充電指令値を送るという情報交換を経て、最後に直流電流を車両に対して無理のないよう出力します。
EVバッテリーの様子を見ながら充電していきます。そのおかげでEVバッテリーの寿命が延びるのです。
CHAdeMO急速充電器はいかなる条件下でも安全に使えるような仕様になっていて、感電防止装置も付いているので安心して利用できます。
現在6 kwから200 kwの出力でEVを充電できます。
さらに双方向の電力移動が可能なので、スマートグリット(電力の需要と供給を常時最適化する次世代の電力網)にも対応しています。
VtoH(ヴィーグル・トゥ・ホーム)という機能でEVのバッテリーを停電などの時に非常用電源として一般家庭で利用できるのです。
充電以外に、いざという時にも利用できるので、心強い味方になってくれます。
家庭の太陽光発電パネルからCHAdeMOへ蓄電し、EVやスマートグリッドに電力を供給できるので、自前でまかなえて便利で経済的にも助かります。
ちなみに、中国の急速充電器は基礎技術の提供をしてもらいCHAdeMOの仕様になっています。
EV充電器の気になる充電時間は?
エコカーで「環境にやさしく、お財布にもやさしい」と言われて人気のあるEVですが、弱点がありました。それは充電時間です。EVが避けて通れない課題で、さらに普及するための最大のポイントでした。
普通充電で約8時間かかります。ガソリン車の給油時間に比べてあまりにも長い充電時間を短縮しようと、EV急速充電器CHAdeMOが開発されました。
走行している途中や仕事、用事などで時間がないのにバッテリー残量が足りなく、どうしても充電しなければならない場合など、とても間に合いません。充電時間は短ければ短いほど助かります。
ほとんどのEVバッテリーは80 %まで高速に充電できますが、リチウムイオン電池の制約で、その後充電速度はどんどん遅くなります。そのため急速充電時は80 %までを推奨しています。
現在、ユーザーの平均充電時間は25分程度に短くなっています。8時間からするとかなり短縮されていますが、欲を言えば、ガソリン車の給油時間と比較するとまだ長いと感じます。
日産のリーフのバッテリーを現在普及している50 kwで80 %まで充電するのに30分ほどかかります。
これまでCHAdeMOの直流型急速充電規格は最大電圧500 V、最大電流の125A、そのため充電出力は50 kwでした。
それは50 kwという出力制限があったためで、CHAdeMO規格の仕様が変わり、出力が大幅アップしました。
最大電圧500 Vは変わりませんが最大電流が125 Aから400 Aに大幅アップし。それにより実行充電出力が150 kwの充電が可能になります。
出力が50 kwから150 kwの3倍になれば、単純計算で充電時間が1/3になり30分かかっていたのが10分で済みます。
EVの充電は家庭や職場の通常のコンセントで普通充電を行います。急速充電は普通充電の補完的な役割という位置付けになっています。
長距離移動する時に幹線道路沿いや高速道のサービスエリアに急速充電器が増えれば、走行距離を気にすることなく運転できます。
EVの電池容量が増えつつあり、充電速度の向上という期待に応えるためには、さらなる充電器の出力アップが求められているのです。
EV急速充電器CHAdeMOが2017年に連続出力「100 kw」、最大出力「150 kw〜200 kw」(400A/500 V)の充電を可能にしました。
2020年までには最大電圧を1000Vまで拡張することでさらに出力を「350 kw〜400 kw」(350 A〜400 A/1000 V)まで引き上げる計画のようです。
すると充電時間は約5分となり、ほぼガソリン車の充電時間と同じになります。そしてトラックやバスなどの大型車への充電が可能になります。
CHAdeMO充電による走行距離は?
EV充電器の充電時間による走行距離の数値です。
- 普通充電器(200 V)ケーブルあり、すべての車種に充電可能
約4時間=80km、約7時間=160km
- 普通充電器(200 V)ケーブルなし、コンセント型
約8時間=80 km、約14時間=160 km
- 急速充電器(出力50 kw)CHAdeMOタイプ
約15分=80 km、約30分=160 km
一般的に5分の充電でも40 km走行が可能
日産リーフのバッテリーを80 %まで充電する時間です。
- 出力50 kw=約30分
- 出力100 kw=約15分
- 出力150 kw=約10分
- 出力200 kw=約7分30秒
- 出力350 kw=約5分(開発中)
走行距離は、車種や充電器の機種などによって違いが出ますので注意が必要です。もし高速道路でエンストでなくモースト(モーターストップ)?したら大変ことになってしまうかも知れませんから目安にして下さい。
EV充電スタンドはいろいろな場所に設置されているので便利です。
普通充電器
百貨店、病院、カーディラー。コンビニエンスストア、ビルやマンションの駐車場、コインパーキング、宿泊施設、スーパーマーケットなど
急速充電器
高速道路のサービスエリア、道の駅、ショッピングモール、ガソリンスタンド、市役所、カーディラー、携帯電話販売ショップなど
EV充電器はお財布にやさしい!
EVの電気代とガソリン車のガソリン代を一般的なデータで比較します。
<一ヶ月の走行距離が800 kmの場合>
電気代
22円=1 kw/h(自宅で安い夜間に充電)
1充電で400 km、バッテリーの容量を40 km/hと仮定する。
800 km÷400 km=2、 22円×40=880円
880円×2=1,760円
ガソリン代
130円/L、燃費10 kmと仮定する。
800 km÷10 km=80、130円×80=10,400円
1ヶ月の電気代は1,760円、ガソリン代は10,400円と桁違いに電気代の方が安くなります。
<CHAdeMOタイプの急速充電器で充電した場合>
30分で450円と仮定すると約160 km走行できるので、800 km走行するためには
800 km÷160 km=5、 450円×5=2,250円
急速充電器でも同じように桁違いに安くなります。
国内の急速充電器は、ほとんどが「CHAdeMO」の機種です。
急速充電が1回(30分)450円、500円、600円など、料金は各スタンドにより異なります。
EV充電器とEVの相関関係
高出力で充電が可能だと、電池の充電スピードが大幅に上がります。出力を上げるためには、充電器そのものや充電の仕組みなどのプロトコル自体よりも主にコネクタ部分の機能アップが必要です。
容量や高い電圧に対応できるバッテリーにする必要があります。大電流が流れ込むことによるバッテリーやケーブル、コネクタなどの発熱対策も必要です。
発火した事もあったので総合的にレベルを上げていくことが求められます。
対策として充電時間を設定したり、センサーで電流の量を制御したり、直接冷却しようなどいろいろ工夫されているようです
CHAdeMOのこれからについて
2018年8月22日、CHAdeMO協議会と中国の「中国電力企業連合会」は、EVの急速充電器の次世代規格を統一することで合意したと発表し、同月28日に覚書に調印しました。
CHAdeMOと中国の国家規格である「GB/T」の両規格の統一を図り、出力は350 kw〜最大900 kwを想定しているようです。
国際規格の充電システムは主に4陣営に分かれていて、「CHAdeMO」(日本)、「コンボ」(欧米)、「GB/T」(中国)、「SC」(テスラ)が世界標準を目指して、しのぎを削っています。
2018年4月時点の世界の主な急速充電器設置数
総数:約253,400基
日本:18,000基(7 %)
欧米:7,000基(3 %)
中国:220,000基(87 %)
テスラ:8,500基(3.3 %)
日本と中国を合わせると94 %で、圧倒的な世界シェアになります。
もともと中国の「GB/T」は日本のCHAdeMOの基礎技術を提供しCHAdeMO仕様になっていて、数百円のプラグを交換すればそのまま使えるとさえ言われているので、統一規格の実現へのハードルは低そうです。
電池容量が大きくなり、走行距離が長くなってくれば、エコカーで「地球にやさしく、お財布にもやさしい」と言われているEVを買いたい人が増えてくるかもしれません。すると値段が下がってくるでしょうから、より良い暮らしが待っているような気がします。
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